2008年12月21日

大誤訳「平均律クラビーア曲集」

この頃何故だかバッハづいてる私です。
急にグールドのゴールドベルク変奏曲が聴きたくなったり、ウェンディー・カルロスのスイッチド・オン・バッハが聴きたくなったり、妙に多声的な構造の曲に耳が行くようになりました。
誰かが「クラシック音楽はバッハから始まりバッハへ帰る」と言っていたような気がしたけどあれはあながち嘘ではないような。
と言うわけでバッハの「平均律クラビーア曲集」というのが気になり始めました。
ここでちょっと話が逸れます。

この話その筋では結構有名な話ですが、この「平均律」という部分が酷い誤訳らしいのです。
元々のタイトルは「Wohltemperierte Klavier」でこれは「Well-Temperament 〜」の意味、つまり「良い調律がなされたクラビーア(曲集)」となるようです。バッハの時代の調律法は現代とは異なり「1オクターブ=12音」が均等に分けられていなかった(つまり「平均律」ではなかった)ようなのです。
実は平均律での調律法が主流となったのは曲中で転調が頻繁に行われるようになったおよそ18世紀後半からの事らしいです。平均律はどの調の和音でも均等に響くので転調がしやすいのですね。しかし平均律はその代償として本来完全に調和するはずの音程(長三度など)が濁るのです。
上手い合唱団がアカペラで完全にハモる(=純正律)と非常に豊かな倍音が発生して「天国的な響き」がするのですが、平均律で調律されたピアノなどにはそういう響きがありません。
しかし純正律ではハ長調(Cキー)でC-Dur(Cメジャー)、C-moll(Cマイナー)、F-Dur(Fメジャー)、G-Dur(Gメジャー)、A-moll(Aマイナー)
just intonation.png
以外の和音が非常に濁るのです。これでは制約が多すぎて転調どころではありません。
そこで17世紀頃考え出されたのがベルクマイスターやキルンベルガーといった調律法で、そのおかげで比較的転調が容易になったのです。ベルクマイスターは調号が少ないほど澄んだ響きがして、調号が多いほど旋律が美しく聞こえるようになっている調律法です。ここで話が戻ります。

バッハはそのベルクマイスターで調律されたクラビーア(鍵盤楽器)の為に、長短合わせて24すべての調で書かれた曲集「良い調律がなされたクラビーア」を作った訳です。即ちその調における響きのキャラクターが平均律よりもハッキリと現れるわけですね。
さあ、どうでしょう?ベルクマイスターで調律された「平均律クラビーア曲集」が聴きたくなってきませんか?
調べれば調べるほどバッハの偉大さが分かってきて面白いです。
posted by miduno at 01:44| Comment(2) | 音楽理論の話 | 更新情報をチェックする

2008年11月11日

JPOPサウンドの核心部分が、実は1つのコード進行で出来ていた、という話

まずはこちらをご覧下さい。動画を観て頂くとそれほどコード理論に詳しくない方でも何となく理解していただけるのではないかと思います。
(ってかニコニコ動画ってアカウント持ってないと観られないんでしたっけ?)

JPOPサウンドの核心部分が、実は1つのコード進行で出来ていた、という話 [Music Hack]





曲のトニック(主和音)を「T」とした時に、多くのJ-POP(特にサビ)は
「W△7→X7→V-7→Y-」の循環
KEY=C
で成り立っている場合が多いと言う話です。

ジャズ理論に詳しい方ですと
五度進行「U(-)→X→T」
KEY=C
が曲の根幹になっている場合が多いのをご存じだと思いますがこの
「W△7→X7→V-7→Y-」もそれに類似するものだと思います。
つまり「W△7」はルート(根音)の無い「U-7(9)」、
「V-7」はルートの無い「T△7(9)」であって
これは「U-→X→T」の進行とほぼ同じものだと見なせるのでしょう。
一方「V-→Y-」は「T」のレラティブ・ マイナー(平行短調)
KEY=C
KEY=A-
に当たる「Y-」を「T-」と見なした時の「X-→T-」になります。
要するにキーをずらして「Y△7(W-7(9))→Z7→X-7→T-」という進行をしているとも見なせる訳です。
そうするとこの曲のキーは「T」なのか「Y-」なのかが曖昧になる。これが「メジャーとマイナーの中間を漂う浮遊感」って事でしょうかね?

でも個人的には「T→W→Z→V→Y→U→X→T・・・」
KEY=C
みたいな強引な五度進行が好きです。これは完全に「U-X-T」の読み替え&組み合わせだけで出来ている強力な進行だからです。ちなみにジャズスタンダードの「枯葉」はほとんどこの進行だけで出来ているようです。
posted by miduno at 20:27| Comment(5) | 音楽理論の話 | 更新情報をチェックする

2008年04月01日

緊張と弛緩の理論

ずばりと本質を突く言葉が好きである。

落語家であった故桂枝雀氏は「笑いとは緊張と弛緩である」と言ったらしい。
例えば、漫才には「ボケ役」と「ツッコミ役」がおり、ボケが緊張させた後 ツッコミがそれを弛緩させている。ちゃんとツッコミが入らない漫才は観る方の緊張が和らがないので全く面白くない。

これは調性音楽で言うところのドミナントとトニックの関係にも似ている。不協和音(属和音)で緊張させた後 協和音(主和音)がそれを弛緩させる。
より高度なテクニックでは「協和音が来る」と思わせておきつつ代理和音を使い、更に緊張を高めてから終止させる偽終止等もある。
良い曲は緊張と弛緩のさじ加減が絶妙である。

慣用句の「飴と鞭」とは緊張と弛緩を表した名言だと思う。
飴を与えすぎても鞭で打ちすぎてもダメなのである。

・・とそんな事を考える時がある。
posted by miduno at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽理論の話 | 更新情報をチェックする

2007年08月07日

「♭9th+リハーモナイズ」が好きすぎて悶絶

NHK-FMの「弾き語り for You」を聴いていたら、寺島尚彦氏が作曲したという「誰もいそがない村」という曲をやっていたのだけれど、これがまた何とも言えずメロディアスな曲で良かった。しかも気持ちいいくらいにコードがはまっているので捻くれコード進行好きな僕としても大満足な内容。

ここで確信を持ったのだけれどもどうも自分はある特定の進行に反応するらしい。
それはつまり、
・主旋律が音を延ばしている部分でコードだけが変化する。
・しかも主旋律の音がいつの間にか7thになっている。
・対旋律で♭9thが鳴っている。
・リハーモナイズされた結果そうなってると更にgood.

よって山下達郎氏のGet Back in Love等を聴くと相当悶絶します。


※3分15秒〜21秒あたりで代理コード使ってます。
posted by miduno at 00:00| Comment(0) | 音楽理論の話 | 更新情報をチェックする

2007年08月04日

リディアン・クロマティック・コンセプト

というジャズの理論があるらしいのだがこれが非常に気になっている。
簡単に言うとコード進行を元にアドリブをする時にそのルート(根音)のリディアンスケールをなぞるだけで(?)どのコードにも合うアドリブになる、とまぁそんな理論だったと思う。
噂によるとかのビル・エバンス(ピアニストの方)のアドリブもこの理論で説明できてしまうんだとか。これ知ってたらコード知らなくてもジャズ出来るんじゃないのかな?って別に僕はミュージシャンではないんだけど。


コメント

僕こういう「簡単にそれ風になる」的なの大好きです♪
昔タモリさんがトランペットでマイルスの真似したり、ピアノでチック・コリア風の即興演奏を披露してらっしゃって、どうやれば「それ風」になるかの解説をしてらっしゃいました。
たとえばピアノの場合、左手は人差し指と親指をこのくらい広げて2音を押さえ、右手が上がったら左は下げる、右手が下がったら左手は上げる、黒鍵は絶対に弾かない。とか‥‥
自分でも「こーするとブルースっぽい」「沖縄っぽい」「演歌っぽい」とか、いろいろ研究したりしてた時期がありましたっけ。
そんなのって、普通に理論書を読めばすぐにわかる事ですが、自分で探って行くのが楽しかったです。

ひげフレディー 2007-08-05 14:20:49


こんにちは.

タラちゃんと私は一回り以上年齢が離れているはずですが,いわゆる「タメ」の年齢差じゃなくて本当によかったと思います.年齢が近かったら,もっと人生を互いに踏みはずしていたに違いないと思います.

はい,「リディアン・クロマティック・コンセプト」,ちょっとかじりました.私がボストンにいたときに,New England Concervatory of Musicという音大に関係していたのですが,ジョージ・ラッセルはそこのジャズの教授だったはずです.

ジャズのコース(社会人向けのもの)もとったのですが,素養がゼロなので,あまりに実になっていません.しかもリディアン・クロマティック・コンセプトは,難しくて,よく分かりませんでした.授業はもっとうんと初歩の段階でしたし.

ただ,リディアン・クロマティック・コンセプトのはじめにあったと思うのですが,音の重力関係から言ったら,基礎となるのは長調(Ionian)ではなく,リディアンであるというのは,なんとなく納得できる考え方だったように思います.

ジャズの代理コードは,和音の響きに劇的な変化を与えるので,このあたりを学びたかったのですが,そういう需要はないんでしょうかね?

Sadao 2007-08-05 15:41:21


>ひげさん
タモさんのハナモゲラ語は実はジャズミュージシャンの隠語だったと聞いたことがありますが、自分のジャズの教養を芸にまで昇華してしまうのって驚嘆に値しますね。
所謂理論はあくまで理論であって後付で説明されることが多いですから結局は個人の研究の成果ですよね。ミュージシャンで理論知らない人結構いますし、やはり感性が大事かと思います。

>Sadaoさん
毎度話に付き合って下さってありがとうございます。
こんな感じの僕ですから十分に人生を踏み外しているとも言えます(笑)。いえ、勿論後悔はしていません。
重力関係というのと同じかどうか分かりませんが自然倍音列によるスケールを考えると実はイオニアンよりはリディアンの方がしっくりくるような気がします(アボイド・ノートが無い=アドリブしやすい?)。
代理コードの理論は僕も気になるところではありますが理論よりは実践な僕ですので(?)古典的なボサノバを弾き語りながら自己満足に浸っております(もちろんド下手です)。メロが同じなのに下のコードだけで目まぐるしく色彩が変わる様にクラクラしっぱなしです。

miduno 2007-08-06 16:28:51
posted by miduno at 00:00| Comment(0) | 音楽理論の話 | 更新情報をチェックする